23年度の千葉県のバランスシート
千葉県財政課は3月25日付けで、平成23年度の県財政のバランスシート等の財務諸表(概要)を公表しました。バランスシートとは、県の財政状況を示す貸借対照表のことで、財政の透明性の向上を図るため、国が示したモデルに基づき、平成23年度の決算時点による県の資産・負債などのストック情報を明らかにするために作成されたものです。
県の財務諸表には、次の4表があります。
(1)貸借対照表(バランスシート)は、資産や負債といったストック状況の把握のための財務書類(2)行政コスト計算書は、資産形成につながらない行政サービスの提供のために、県がどのような活動を行なったかを示す財務書類(3)純資産変動計算書は、貸借対照表における純資産の期首から期末への要因別変動を示す財務書類(4)資金収支計算書は、年度における現金の流れを経常的収支等の活動区分ごとに示す財務書類の4種類です。
このうち、水道事業などの特別会計を除いた普通会計ベースのバランスシートで主なポイントをみると、県の資産総額は5兆6361億円で、前年度に比べると34億円減少し、負債総額は3兆7560億円で、同1177億円の増加となりました。従って純資産の総額は1兆8801億円です。
これを県民一人当たりでみると、資産は人口の減少により91万7千円で、2千円の増加となり、負債は臨時財政対策債の増加により2万1千円増え、61万1千円となりました。なお、臨時財政対策債は、国が将来責任を持って返済に当たる約束の借金ですから、これを除いた県民一人当たりの負債額は、45万8千円となり、負債は7千円の減少となる計算です。
長引く不況の影響で、県に限らず地方公共団体の財政状況は悪化しているため、投資的経費が減少し、将来に引き継ぐ資産とそれに係る負債は減少していますが、地方交付税として措置されるべき額の多くが臨時財政対策債に振り返られているため、資産形成を伴わない地方債の残高が大幅に増え、貸借対照表上は、負債総額が増える結果となっていることが問題だといえます。